人形絵師

富崎さん(http://www.ne.jp/asahi/doll/doll/)の個展へいってきました。会場はフォレット原宿の4階でしたが、退廃的かつ耽美的な雰囲気が漂っているにも関わらず、非常に微妙なラインでマッチしていたように思います。まさに異空間であるがゆえ、逆に倒錯感が得られていたからかもしれません。

作品のひとつひとつをみていくにつれ夢のような居心地のよさを感じとれるようになっていき、恍惚感が緊張感を緩和し思わず頭がぼうっとしてしまいました。そのような状態のなかでもいろいろとお話をさせていただき、作品にこめられたコンセプト、というよりも、その背景にある富崎さん自身の抱く世界観に触れることができ感服したのを憶えています。短いながらもまったく刺激的なひと時でありました。

職人の手と表現者の手、その2種類があると過去に友人がいっていましたが、私は前者しか持ち合わせていないのか、作品のディティールに潜むオブジェクトの意図や構造美など、非常に些末的な視点からみてしまい、雰囲気に酔うことしかできず、とても勿体ないことをしたかなと内省しています。それでも励ましのお言葉をたくさんいただきましたので、ここをゼロ地点として技術力を表現力へ昇華させていきたいと改めて決意をしました。

それから友人と食事をして談笑してきたのですが、やはり思考停止気味なのは相変わらずでしたので、たいしたお話もできず退屈させてしまったかなと申し訳なく思っています。

個展は今月の10日まで開いているそうですので、みなさんも足を運ばれてみてはいかがでしょうか(東京都渋谷区神宮前 1-8-10 FORET 原宿4F TEL 03-5411-3330)。