八回忌

1月11日は祖父の八回忌の日。仕事中に懐かしい言葉が像として視覚野を刺激し慌てて屋外へ。I'd really like to help you ってよい言葉ね。日付が変わる前に帰宅し形見の数珠を握って祭壇に手を合わせた。途中で色々な歌が流れ両手の指が半分だけ組み合わさっていた。感慨はなくもしばらく考え込む。父方の祖父と母方の祖父は2人とも宮大工だったが家系を遡って紐解くと全く対照的で、思考面や感情面での両極性反応が幾重にも交差する理由がそれかどうかは判然としないものの、アンシンメトリーな十字形を使ったデザインと万華鏡の覗き穴レンズのギミックを組み合わせられたからよしとする。思えば通夜の時に初めて PC で絵を描いたのだが心が高揚してとても楽しかった。趣味娯楽の類が奇妙なほど一変した。最近もまた魅力的なユニットに触発されたのもあり昂奮して眠れず朝方まで構想を練ったり作ったりしている。

ところでインスパイアを辞書で引くと、"inspire:思想、感情などを吹き込む。思想、感情などを人に与える、呼び起こす" となっており、最近は "触発されて具現化した" というニュアンスで用いられているが、"奮いたたせる"、"鼓舞する" という意味もあれば、とある英和辞書には "神感によって導かれる" という和訳も載っている。感情がシンクロしたり感銘を受ける出会いがあると誰しも精神感覚を揺さぶられ扇動欲求が現れるが、1人では成し得ないし2人でもバランスが取れない。自分の半身やコピーを作りたくなるのが本能なら、自分がいなくても動く核を持ったコロニーを形成するのが正道。ただ、単体の人間を取ってみても表層意識と深層意識の欲求は食い違うし、かといって宇宙は陽電子か陰電子のどちらか一方が強まれば崩壊してしまう。それでも生物が生存し進化し続けてられているのは願いを内外へ伝えるナトリウムを体内に多く含んでいるから。オカルティストはそれを深層心理より更に奥深くにある潜在意識には高次な自分の声(サイレント・ボイス)と呼んでいたりするが…、ともあれ組織にもそのような緩和剤となる仲介者が必要だと思う。