星の遺言 [Requiem]

腐臭を放ち塩漬けにされた空虚な化石
意識の底流に棲む噎せ返る銀色の煙の面影に
今は亡き祖父母の優しき笑い皺を重ねながら


夕暮れの浜辺 去りゆく時の地層に遠く埋めたてられて
かつての愛猫が泣き咽びながら命を乞おうとも
私は深く眠りに墜ち アニマの恩恵を求め願い
廻り巡る罪を重ねては 業を背負い朽ち果てる


この身 この血 この心 いくら呪おうとも
人は冷たく 町は静まり 夜月は不吉な影法師を落とし
帰らぬ夢 見果てぬ夢に あなたの墓標を描く


私のお父さんはどこにいるのですか
私のお母さんはどこにいるのですか


疫病に蝕まれ なけなしの乳を搾りだしては涙を垂らし
担がれゆく棺に 望まれぬ漆黒の赤子は置きざられ
与えられたいのち 永劫に全うすることもできず


咲き乱れよ蓮の花 この瞳に根をはって
枯れておしまい アニムスの種子
この星の記憶に その爪痕すら残さず