Collaboration with Junichi Takahashi Vol.2

Collaboration with Junichi Takahashi Vol.2

Collaboration with Junichi Takahashi Vol.2 『Vasuki』

写真家 たかはしじゅんいち氏とのコラボレーション制作、第2作目のグラフィックです。

作業を始めるにあたり戴いた写真は初めて見るもので、人物の目にフォーカスを当て、肌の生々しさを残した印象強いものでした。最初は画面の中の人物としきりに目が合うので Webカメラがある時のように色々と気を付けましたが、加工の過程で本当は非常に優しい目をしていることに気が付きました。

頭の中に浮かんでいたテーマが"瞳術"であったのと、写真の印象からなんとなく蛇を想像し、八岐大蛇など古来の蛇に纏わる挿話を辿っていくと、伝承でも写真の人物と同じく目の周りが赤いとあったので、ストレートにイメージ通りの表現ができました。

生きた対象を生きたまま取り扱う上で必要なのは、無心の状態や静かな波のようなものの揺れ、または微塵も妥協を許さない礼儀や愛着だと教えられました。

JUNICHI TAKAHASHI Web Portfolio

公園で鳩の動きを観察している時に気づいたことのひとつとして、"瞳術"というのは現代風に言い換えれば経験則や統計学の延長で、裏には無数の情報や数式が走っているのではないかというのがある。

例えば石畳の上を歩いている鳩の踏まないタイルを予測する場合、自分の場合だと額から斜め上の位置から俯瞰するように、視界のぼけた状態で見た時によく当たる。人によって方法は千差万別だが、誰でも試みを繰り返すたびに当たる確率は増していくと思う。人間は自然と視覚にあまり頼らないところで鳩の歩いてきた軌跡を記憶しているからかもしれない。

人間は赤ん坊なった時点で世界の大部分を視覚で認識しているかのように感じざるを得ないし、人と人の存在を繋ぐ最も手近な感覚が視覚であることから、力の方向や媒介が何であっても恰も目で何か行ったように錯覚するのではないだろうか。

しかし本来は恐らく波の流れのようなものや場の状態が要で、誰でも無意識下にバックグラウンドに潜むものは感知し得るはずなので、せめて普段から何もしていない時でもよい状態をキープしたいと最近よく考えている。