神と玩具

気づけば、口篭もってしまうことがあまりなくなっていた。小学校にはいったころか、保育所の年長組のころから、学校の行事などなにか心配事があると、一言目がまず口からでてこなくて、口をぱくぱくしたまま喘いでいたのを憶えている。「ぼくね、一生懸命、喋ろうとしているんだけど、喋れないの」といって、祖母を泣かせてしまったことがあるらしい。

口篭もりは、言葉を覚えるのが遅かった子供に多いと同級生の母親にいわれたことがあり、たしかにその通りであると、たまに納得する。

ただ、漢字の読み取りテストだけはなぜか得意で、初めてみた知らない漢字のはずなのに、どうしてなのか音読みも訓読みも難なくできてしまう。祖母に相談したら、そんなことはまずありえないという返事をもらったけれども、両親が醜く口篭もるぼくをみて、本を読むことを強要した、そのおかげなのかもしれない。

とにかく、ひとにできて当たり前のことができない子供だった。それはいまでも、あまり変わっていない。