錬夢術

朝方に寝て夕刻に目覚めるという生活を繰り返していて、起きているあいだは段々と充実してきてはいるものの、まだ苦しいことのほうが多い。あらゆる要素がストレスの起因材料になっていて、すぐに忘れてしまうような無駄な思考が止まってくれない。その代わりにとても楽しく甘美な夢に触れることができていて、今日などは2度ほど大笑いしながら途中で目を覚ました。

はじまりの舞台は、大行列をつくっているマクドナルドで、私の番がくると手術室に連れられなぜか解剖される。しかし、その一方で自分を客体化している視点もまたあり、レジ近くにぶらさげられたモニタのなかでは、なぜか赤ん坊の私が右肺のあたりをメスで刻まれている。そういえば、ここのところ右胸から10センチほど下のあたりがじくじくと痛んでいることを思いだした。レジの裏の厨房にはいると十字形の赤いロゴの刻まれた袋がいくつも並んでいて、マスクをしている店員は目でそのなかに人肉がはいっていることを語っており、私は恐くなってそこから逃げだした。

ふたつめの舞台は、典型的な白と赤で彩られた洋風の家の庭で、帽子を被った女の子と私が緑の芝生の庭で遊んでいる。足元には洗面器があり、そのなかではマーブル模様を描く藻が泳いでいた。いざ飲み干そうとすると作業服を着た父親が軽四トラックで迎えにきて、私は女の子に手を振って別れ、宙を仰ぎながら車に乗り込んだ。信号のまえで一時停止をしたときにふと父親のほうをみやると、これはまったくの他人であることに気づき猛烈な不安感に襲われ、気がついたら実家の2階にある寝室前にいた。そのとき、左側の乳首が火山口のように穴を開いたと思ったら、あれよあれよという間にそこから全身の皮と肉が逆転したように捲れあがり、ついには内腑を曝けだしたままの姿で痛みに耐えているというところで夢は終わった。