中核と媒介を失った果ての行動思念
稀に野蛮で猟奇的な行為に至るまでの経緯を細かく執拗にシミュレートしては、時間がとても長く過ぎていることに気がつき、手汗をティッシュや何かで拭います。この国に生まれていなければクリエイター業を糧にしていなかったと思いますし、かといって物を考え作る能力を根こそぎ奪われてしまえば、何も食べず一睡もせずにきっと馬鹿みたいな表情で死んでいったろうと思います。
- 作者: マンディアルグ,澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 1989/07
- メディア: 単行本
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私は夢のなかで、切り立つような岩礁を登攀し、岩礁の傾きで、海鳥の巣のなかに、一個のきわめて大きな薔薇色の卵を発見した。私はこの卵を、あたかも友人を傷つけるか、あるいは忠実な獣を殺すかでもするような気持で割った。私はそのとき岩角の斜面の、不安定な位置にいたので、殻が割れると同時にどっと迸り出た乳汁の洪水を避けることができなかった。私のセーターはびっしょり濡れた。そして私は鼻をつまんだ。この乳汁は、死の匂いがしたからだ。
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ『大理石』123ページより
- 作者: グスタフマイリンク,今村孝
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1990/06
- メディア: 単行本
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淫楽殺人を犯したときは、わたしに選択はあたえられていなかったのです。完全に明瞭な意識のもとで行動していたにもかかわらず、わたしに選択はあたえられていなかったのです。
グスタフ・マイリンク『ゴーレム』325ページより